アジャイルマーケティングの必要性

アジャイルマーケティングの必要性

アジャイルマーケティングの特徴は、俊敏に臨機応変に動くところです。

マーケティング経験者の多くが、調整と承認にといった手続きに時間を費やし、改修やリリースが遅れた経験があるでしょう。

従来型のカルチャーや組織文化的な障壁に対して、途中での計画変更や新しい施策を説得するロジックも乏しかったのですが、今やリアルタイムに情報が把握できるので説得材料を手に入れやすくなっています。

リアルタイムに取得できるデータを活用するために、俊敏なアジャイルマーケティングを行うことが一つの打開策として挙げられます。アジャイルマーケティングの経験者は、状況に合わせて変更が効かないことに、もどかしさを感じることもあるでしょう。

このもどかしさMAXの場合は、どのようにアジャイルマーケティングの必要性を説明していけばいいのでしょうか。さらに、時代に合ったアジャイルマーケティングを実施できる環境をどのように構築していけるのでしょうか。

アジャイルマーケティングの概要

それではアジャイルマーケティングについて概要を紹介します。

アジャイルとは

アジャイルとは、変化を生み出し、変化に対応する能力です。それは、不確実で激動の環境に対処し、最終的に成功する方法と考えられています。

アジャイルマーケティングとは、Agile Marketing Manifestoで表明されている価値観と原則に基づく一連のフレームワークとプラクティスの総称です。

アジャイルマーケティングのコンセプト

アジャイルマーケティングのコンセプトとは、マーケティングの変化のスピードと複雑さに対応するために、新たな働き方を採用するというものです。

  1. Focusing on customer value and business outcomes over activity and outputs /タスクやアウトプットよりも顧客価値と成果に集中する

  2. Delivering value early and often over waiting for perfection /完璧さを待つよりも価値を素早く頻繁に提供する

  3. Learning through experiments and data over opinions and conventions /意見や慣習よりも実験とデータから学ぶ

  4. Cross-functional collaboration over silos and hierarchies /サイロやヒエラルキーを越えて機能横断型の協力を行う

  5. Responding to change over following a static plan /固定された計画に従うことよりも変化に対応する

アジャイルマーケティングの原則

アジャイルマーケティングは、マーケティングの変化のスピードと複雑さに対応するために、今までとは異なるマインドセットと新たな働き方として採用されます。 下記の原則はアジャイルマーケティングの価値の詳細について述べたものです。

  1. 素晴らしいマーケティングには社内外の顧客との緊密な連携、透明性、質の高い交流が必要である

  2. 多種多様な観点を追求する

  3. 顧客価値を高めるために、変化を歓迎し対応する

  4. 効果的な優先順位付けと業務遂行のために必要な分だけ計画を行う

  5. リスクを取り、失敗から学ぶ

  6. 可能な限り機能横断型の小さなチームをつくる

  7. やる気のある個人を中心にマーケティングプログラムをつくり、彼らが仕事をやり遂げることを信じる

  8. サステナブルなペースで仕事を行うことが長期的なマーケティングの成功につながる

  9. アジャイルマーケティングだけでは十分ではない。卓越したマーケティングには、マーケティングの基礎を継続的に見直すことも必要である

  10. シンプルを目指す

2012 年 6 月、マーケティング担当者のグループが集まり、アジャイル マーケティングについて明文化されました。それ以降、独自のプロセスを適用してこのマニフェストを公開し、結果を測定し、フィードバックから学び、適応して反復します。

スタートアップ企業への支援で実感したアジャイルマーケティングの可能性

私自身も「せっかく時間を捻出して最高な提案をしたのに、マーケティングをより高度にする仕組みへの一歩を踏み出せないだろうか?新しいことにチャレンジできないのだろうか?」と何度ももどかしさを感じたことはありました。若い頃は「何か提案に足りなかったのかな?」「嫌われているのかな?」とよく反省したものです。

これまでもマーケティング業務はいつも新しいシチュエーションと捉えていて、先入観を持たないで遂行することを心がけていました。今振り返ると、自分自身がアジャイルマーケティングを無自覚で行おうとしていたのでしょう。新しい気づきやイレギュラーの発見は先入観を持たない方が与えられやすいでしょう。

しかし、そういったスタンスに対しては、世代間ギャップ、スキルや知識のギャップ、企業のカルチャーが立ちはだかることもあるでしょう。何か変更や新しいことを提案すると、実績は?本当に必要?という声が挙がってしまうと、論破できるか、論破できないかの戦いになってしまい、建設的な打ち合わせではなくなってしまいます。

さらに少し昔までは、失敗したら降格か左遷がチラつくような時代で、絶対成功させるか、誰かが責任を押し付け合うかの風潮はありました。現在は、失敗したら終わりというような雰囲気は薄まり、サステナブルなマーケティングにシフトしているように思います。

もちろんコンセプトから狂っている事案を除いては、リスクを最小限にとどめて、トライ&エラーを反復していくことを選択していくことが良いでしょう。やらないというジャッジをするまで、数ヶ月もかかってしまうと人件費だけ嵩んでしまいます。

それに加えて、新しい未知なことに挑戦して、仕事が楽しくなるという副産物をあるでしょう。

アジャイルの調整が難しい例

下記は、アジャイルで進めることがなかなか難しいケースの一般例です。

  • ゴールが曖昧なスタンス

  • 絶対にこのゴールをこのプロセスで達成しなきゃいけないというハンドルの余裕がないスタンス

これらはなかなか結果を出すために俊敏な動きを行うアジャイルマーケティングが難しい状況になるケースです。ゴールを明確にし、共通認識を持って、スタートを切ることが大切です。

もし、何ヶ月も議論している暇があれば、テスト的にトライするチャンスをいただけることがベストだと考えています。100%の完璧を求めてスタートしようとすると、何ヶ月もの議論で最終的には時期尚早という判断が下ってしまいがちで、すでにテスト的にも新しい一歩を踏み出せるので、差は広がるばかりなのではないでしょうか。

100%の完璧を求めることが当たり前のような風潮がありましたが、継続的に反復を繰り返すようなプロジェクトの道筋を立てることが望ましいでしょう。

スタートアップ企業のマーケティングはアジャイル

そんな私がアジャイル最高!と気づいたのは、スタートアップ企業のマーケティングをした時のことです。

スタートアップ企業でのマーケティング支援はアジャイルのスタンスがフィットしました。

マーケティング担当者が私以外に存在しなかったので、フレキシブルに社長や各部門の責任者と相談することでプロセスを変更していくことができました。どんどんコミュニケーションして、素早く判断して変更できる環境だったことが幸いしていました。あと、スタートアップならではのメンタリティがアジャイルを可能にしていたと思います。

少しでも判断が遅くなれば、大きな利益を逃してしまう。それではあれば、まず試してみようというメンタリティです。

スタートアップ企業でのアジャイルマーケティングはとっても楽しく、みるみるうちに成果として数字が現れました。レポートは定期的にアナログで作る時間が勿体無いので、ある程度を自動化しました。もし事業会社だったら、レポート作成担当者が個別にいて、タイムリーな把握もできないかもしれません。レポート作成担当者ごとに思い入れがあり、レポートを自動化させるだけでも調整に一苦労かもしれません。

このスタートアップでのアジャイルマーケティングもメリットばかりではありません。アジャイルマーケティングにおいて、チームに優先順位など権限を与えないと大変なことになってしまいます。人数が少ない中で、ある程度の運用をしようとすると、そのアジャイルマーケティングの反復はスポーツのトレーニングに近い形で心身に負担がかかってきます。

また、大企業や組織的な企業ではカルチャーによっては、デジタル化やアジャイルはある一部の人にとっては雇用の喪失感を漂わせてしまいます。

組織的な企業、大企業にとっては、全てをアジャイルマーケティングにする必要もありません。全てをアジャイルマーケティングにすることは困難でもあるでしょうし、フェーズを踏む必要もあるでしょう。

デジタル化やAIなどのテクノロジーを活用した未来、同時に人間の役割を各個人に合わせて示すことができれば、デジタル化や自動化に対しての意識も変わり、テクノロジーの活用が楽しく感じられる可能性もあるのではないでしょうか。

組織的な企業でのアジャイルマーケティングの取り入れ方

企業では従来型のマーケティングを尊重し、維持しつつも、アジャイルマーケティングを行うために独立したチームを作ったり、部門横断型のチームを作ったりしていることも多くなっています。

アジャイルマーケティングを行うためには、俊敏に動けるチーム作ることが大切です。

俊敏さへの障壁になってしまういくつかの一般例を次に示します。

  • 無限のクリエイティブチェック

  • すべてのコンテンツのリーガルチェック

  • マネージャーの承認

  • 会議のための会議

  • 過度に複雑なワークフロー

そして、フレキシブルな動きをするアジャイルマーケティングチームは、リアルタイムの分析を行える環境を構築し、状況に応じて対応できる基盤を作ります。

その際に柔軟なプラットフォームを好み、あらゆる製品と組み合わせて使うことも求め、状況に応じてより良いプラットフォームの構築を行っていきます。

これらを実行するには、さまざまなスキルと知識が必要になってくるので、何もかも企業内で完結する必要はありません。

企業は社内、社外のリソースを活用することで大切でしょう。新しく専門部門を立ち上げ、専門の人を採用するのではなく、その分野で専門の企業とコラボレーションすることができます。限られた時間で、必要なときに必要なリソースを活用し、協働していくことお互いのメリットになるでしょう。専門の企業は、新しい技術を試したり、情報を収集したりすることも重要な業務です。事業会社で働いている場合、自社のプロダクトや自社の情報をキャッチして考える時間が必要です、そしてまだまだ社内の調整に時間を費やすこともあるでしょう。お互いが協働することでアジャイルマーケティングが可能になるのではないでしょうか。

アジャイルマーケティングを取り入れるポイント

  • 俊敏に動けるチーム作ること

  • リアルタイムの分析を行える環境を構築すること

  • 柔軟なプラットフォームを使い、変更ができるようにすること

  • 社内だけでなく社外のリソースを活用すること

アジャイルマーケティングを行うには、手を動かせる専門職とそれを束ねるリーダーが必要です。さらには、社内外の協働を通して、オープンイノベーションのコンセプトに慣れしたしんでおくことにも繋がります。

すべての情報をクローズにしてしまうと、より良い社会にしていくようなアドバイスが外部から入ってこなくなったり、協力者が減ってしまったりします。より良い社会のために、オープンソースにすべきものはオープンすることで、中長期的にはイノベーションが進み、企業の状態が良くなっていることもあるでしょう。

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